(姓)くもは (名)ばき

姓をくもは、名をばきと発します。BL小説家 兼 商業BL小説研究家です。遊びで生きてま…

(姓)くもは (名)ばき

姓をくもは、名をばきと発します。BL小説家 兼 商業BL小説研究家です。遊びで生きてます。同人誌通販>https://kumotei.booth.pm/

マガジン

最近の記事

未確認飛行物体の愛と献身

 このエッセイも今回で11回目となるが、アイデアと情熱に枯渇した日々を送っているので毎週ネタに困っている。  とXで助けを求めたところ、フォロワーさんから「UFO」「海の生き物」「新幹線」などはどうか。とDMをいただいた。なので、有り難くネタを頂戴し今回は「UFO」即ち「未確認飛行物体」について書いてみようと思う。 「UFO」「未確認飛行物体」と言えばまず思い浮かぶのはカップ焼きそばか空飛ぶ円盤のどちらかである人が大半であろうと思う。私もそうであった。しかし私は、元来カップ

    • アンチウォーキング

       内臓脂肪の数値が悪いため、渋々ダイエットをしている。  食事制限のお陰か体重自体は順調に落ちて来ているのだが、血液検査の結果は残念ながらここのところ停滞気味だ。正常値まであと少しのところで数値が下がり切らない。  そこで主治医は言う「ウォーキングをしなさい」と。  簡単に言ってくれる! と思いはするがそこはぐっと飲み込み「努力します」と答える私である。  ウォーキング……ウォーキング……梅雨入りし湿度も気温も爆上がりして不快指数の高い今日にあって、なんとハードルの高い

      • 面倒臭いの悪魔

         奴が来た。「面倒臭いの悪魔」即ち「鬱」である。  ここのところは調子が良いを通り越して躁状態にありやたらとアクティブに過ごし散財気味であったのだが、どうも最近は何をするにも少々「面倒臭い」。  この「面倒臭い」という感覚が実に厄介で、極まるところまで行くと風呂はおろかトイレにもなかなか立てなくなる。当然、頭も働かない。否。頭が「働かない」というと語弊があって、人生の先々に無駄な不安や焦燥、無力感ばかり募らせ眠れもせずただ布団に横たわるだけの日々が続く。  故に、このたっ

        • 死にたい欲求、殺したい欲求

           夫に連休があったので、富士急ハイランドと池袋のアックススローBARへ行ってきた。  富士急ハイランドは言わずもがな絶叫マシーンの聖地。アックススローはダーツの斧版といったようなスポーツで、こちらの店舗ではアックススローの他に「物壊し放題」「落書きし放題」といったようなインモラルな行為を安全かつ合法的に娯楽として楽しむことができる。  煙となんとかは高いところが好きとはよく言ったもので、私も例に漏れず高いところが好きだ。なので高低差の激しい絶叫マシーンやバンジージャンプも

        未確認飛行物体の愛と献身

        マガジン

        • 週刊三十八歳
          11本
        • 商業発表作の後日談とか番外編
          2本
        • 書き下ろし小説
          2本
        • ロングディスタンス
          38本

        記事

          化粧と和解するか、否か。

           化粧が嫌いだ。もう本当に、めちゃくちゃに嫌いだ。なので日常生活ではほとんど化粧をしない。できればこの土俵から完全に降りたいとすら思っている。  手順に蒙昧であり出来が悪いからというだけでなく、化粧をしたあとの顔面に纏わりつくなんとも心地悪いあのもったりした感触、そして「化粧が崩れるので顔に触れられない」というプレッシャーが耐え難いのである。  いや、それは私が底値のドラストコスメ(中には百均の物すらある)、しかも自分の肌に合うのか合わないのかも知れぬものを使用しているからだ

          化粧と和解するか、否か。

          牡馬たちはなぜ「娘」になったのか

           比喩でなく、1日の大半をゲーム「ウマ娘プリティーダービー」に費やしている。そう。私はヘビートレーナー。  今更説明の必要もないかとは思うが、このゲームは歴代の名馬たちを牝馬・牡馬問わず「娘」化したキャラを育成するゲームだ。ウマ娘たちそれぞれに史実をなぞらえた(あるいは「もしもこうであったなら」という)非常に熱く読み応えあるストーリーが用意されており、様々にメディアミックスもしている。  どれも事前知識なくとも楽しめる王道スポ根ストーリー(特に圧巻のレースシーンは必見!)とな

          牡馬たちはなぜ「娘」になったのか

          小さく偉大なお金の神様

           前回の「旅飯のスパイス」は好評だったようだ。こんなマシュマロを頂いた。  有難いことだ。そこで今回も旅にまつわる話を認めていこうと思う。  ただし、今回は「やらかし」や「食」ではなく旅先での幸運について。(まあやらかしのリカバリーも幸運に助けられていると言えなくもないが)  今年の2月頭、私はいい加減長引くこの双極性障害という病との縁を断つべく縁切り神社として有名な京都は安井金比羅宮へ参詣することにした。  京都へは友人(仮にWさんとする)(ちなみにWさんは中国旅行に

          小さく偉大なお金の神様

          旅飯のスパイス

           この週刊エッセイを公開し始めてから、この記事が四週目になる。これをもって無事、三日坊主ならぬ三週坊主を回避できたのは喜ばしい。これもひとえに有り余る暇と処方薬(処方薬は余らすな)、そしてnoteにてスキやX上でいいねをくださる読者方々のお陰である。ここに感謝の意を表したい。  ありがたいことに今週はマシュマロにてテーマのリクエストがあったので、それに準じて記事を認めていこうと思う。そのマシュマロがこちらだ。  リクエストのほど、そして体調へのお気遣い誠にありがたく存じる

          三十八歳。これからなのか?

           ある歳上のBL作家の先輩がかけてくれた言葉がある。 「ばきさんはこれからの人じゃない」  申し訳ないながら、私はこの言葉が全く腹落ちしなかった。  これから? 私はもうすっかり「余生」の世界にいるとばかり思っているのに。  しかし人生百年時代。確かに三十八歳というのはまだまだ折り返しにも満たない年齢だ。まあ折り返しの五十歳を過ぎたあとの健康寿命は実に気になるところであるが、確かに三十八歳というのは「これからの人」なのかも知れない。  さて。「これからの人」である三十

          三十八歳。これからなのか?

          無頼とオタクに優しいギャル

           高校時代。私には「無頼」への憧れがあった。  ちなみに辞書によると「無頼」とは 正業に就かず、無法な行いをすること。また、そのさまや、そのような人。「—な(の)輩 (やから) 」 頼みにするところのないこと。 「単孤—の独人になりて」〈十訓抄・二〉  ということのようだ。ここで私のいう「無頼」とは無論、1のことである。  当時、私自身はスクールカーストの下から二〜三番目あたりのド陰キャであったにも関わらず、なぜか「無頼」としか呼びようのない友人が複数いた。夜な夜

          無頼とオタクに優しいギャル

          三十八歳月曜日。今日も本が読めない

           二〇二四年五月六日月曜日。くもはばき、三十八歳になりました。  つい先日まで「ああ、誕生日が来たらもう三十九か……」と自分の年齢を勘違いしていたのでこれは嬉しい誤算。あと一年猶予があるぞ。(なんの猶予だ)  さてこのマガジンであるが、毎週月曜日につれづれなるまま書きたいことを書いていくものにしていこうと思う。日記ではない。なぜなら毎日特に何も起こらないからだ。  朝は八時前に起きて、ソシャゲのデイリーをこなし、あとは一日ぼーっとして寝たり起きたりしている。余力があれば本を

          三十八歳月曜日。今日も本が読めない

          オオカミ陛下の思し召し

           カザックに短い秋がやってきた。秋分を過ぎた頃からがくんと気温が下がり、明かり窓からは早くも冬の気配を感じさせる風が吹き込んでいる。枢機院にある自身の執務室で決裁の仕事にあたっていたザハールは、机上の小筆を転がした木枯らしに舌打ちをした。  ザハールは秋が嫌いだ。それは何故かと人に聞かれれば「越冬の準備に忙しく、まるで休む暇がないからだ」と答える。それも理由の一つではあるが、本当の理由ではない。 「──陛下、アイシャ=カガン陛下より書状が届いています」  小筆を片手に眉

          ¥100〜
          割引あり

          オオカミ陛下の思し召し

          ¥100〜

          生存戦略

           十一歳の夏だった。その瞬間に俺は間違いなく真理の扉を開き、自分の人生の全てをまざまざと見せつけられていた。  どう考えてもクソみたいな人生が目まぐるしく網膜へ衝突し視神経を闊歩し大脳皮質を渡り視覚中枢へ辿り着く頃。それは完全な確定事項として俺の脳を支配していて、その時にはまだ気付いてはいなかったものの、俺はある意味その時点でおそらく死んでいたのだと思う。 「潤、おまえホモなの?」  水泳の授業中、クラスで一番背の高かったが俺の横でそう言ったのだった。  その夏も確か

          ¥300〜
          割引あり

          Ready steady go

           青嵐大学駅伝部が初めて走った箱根駅伝の成績は第十位となり、翌年のシード権を獲得した。しかし、それはそれとして。 「十区の選手がゴール直前で行った、相手を煽るようにも見えるあの行為はいかがなものか」  であるとか、 「ゴールテープの向こうにいた学生記者。彼はなにをふざけた声援を送っていたんだ?」  であるとか、 「いやいやふざけちゃなんかいない。あれは純愛だ」  であるとか、 「それで結局、あの二人は恋人同士なのか?」  であるとか、まあとにかく。  相も変

          天下の険②

           一月三日。朝七時三十分。夕真は粉雪の舞う函嶺洞門の真上をヘリコプターが飛んでいくのを見た。復路は毎年このポイントからと決めているが、どうしてか空撮用のヘリが飛んでいく時はいつもぽかんと口を開けてそれを見送ってしまう。  今日は喜久井にとって初めての箱根駅伝。夕真にとっては四回目の、そしてきっと最後の箱根駅伝になる。  青嵐大が箱根路を駆けるのは今年が初めてのことだが、夕真は毎年欠かさず往路・復路ともに交通機関を駆使して全区の撮影を行ってきた。  理由を尋ねられればいつ

          天下の険①

           一月二日。午前六時三十分。大手町讀賣新聞本社ビル。箱根駅伝の一区を走る選手とその関係者にはロビーが開放されている。  入念なストレッチに励む者や、音楽に聞き入りながら精神統一をはかる者。バランスボールを持ち込んでいる選手もいる。スタートを間近に控え、過ごし方はそれぞれ。十人十色ならぬ、二十一人二十一色だ。  青嵐大の一区を担うノブタ主将はというと、起床直後から今に至るまで一貫してSNSの更新に余念がない様子だった。しかし彼は付き添いの重陽が合流するなりその顔を見て、ハハ